どうぞ靴脱いでください



カテゴリ:オハナシ( 5 )


愛妻弁当

彼のために毎日お弁当を作る

めんどくさがりな彼が毎日働くのは自分のため

食生活が乱れた彼のためにという名目で弁当を作る私は、結局は自分のため。

人間関係を戦争に例えると、器が大きくなって相手を包み込んだ方の勝ち。


好き勝手やってちょうだい。

何をされても揺るぎない女になって、あたしじゃないとだめって思わせるから。

私達が出会った事は

偶然ではないって

知ってるから。
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by romancers_m | 2006-05-09 00:09 | オハナシ

カエル

キムラは雨が嫌いじゃないよと笑った。
「嫌な事、全部洗い流してくれるみたいでしょ?」と。

楽天的な女だ。
「雨で流れ落ちる程度の悩みしかないんだ」
あたしはそう思って、キムラに少しむかついていた。

———頭イタイ。

雨が近付いて、湿度が高くなると途端に激しい偏頭痛に襲われるあたしは、キムラに
「アマガエルみたいだね」と言われた事があった。

「雨が降る前にタカハシは騒ぎ出す。」

それからあたしはアマガエルって呼ばれるようになった。

そんなキムラは、ウシガエルのように夜になると騒ぎ出すんだ。
バイト先の上司に理不尽に怒られたとか、彼氏にひどい言葉を浴びせられたとか。
時々ヒステリーを起こす、ちょっと困った相方。

でもネガティブ思考気味なあたしと真逆な、突拍子もないポジティブ発言で笑わせてくれる彼女は大事な分身。

去年のウシガエルの誕生日に鉢植えの花を送った。
小さいサイズのヒマワリ。
太陽に一途で、まっすぐ伸びるヒマワリが大好きなんだって、夏になるといつも話してた。
あたしはヒマワリが嫌いだった。
嫌いと言うか怖かった。音を立てると踊り出すサングラスをかけたヒマワリの人形のイメージとか、目も無いくせに太陽の方向に向くところとか。
風に揺れてる風景なんか、あたしに手を振ってるみたいでホラーの世界。

でも喜ぶウシガエルを見て、あたしも嬉しかったのをよく覚えてる。


6月25日
今年は梅雨に入った途端、2週間連続で晴天ナリ。
頭痛がひどくならないアマガエルなあたしにとってはラッキーだけど、嫌な事を洗い流せないウシガエルにとっては苦痛だろう。
今頃ストレスがたまって、またヒステリックになってるんじゃなかろうか。


午後4時、ウシガエルから電話がかかってきた。
言葉がたどたどしくて何て言ってるのかよくわからない。
しゃっくりが止まらないのだろうと思ってたら、どうやら泣いてる。

「どうしたの?」

「…ヒマワリ、枯レタ。」

YB-1に乗ってウシガエルのアパートに急いだ。

「枯れたぐらいで泣くんでない。花は短命ゆえに美しいものなのよ。」

「理屈じゃないのよ!うゎーーーーーーーーーーーーーーん」

子供みたいに泣きじゃくるウシガエルの頭をなでて、あたしは鉢植えをビニール袋に入れて立ち上がった。

「…どうするの…?」

「おいで!」

あたしはウシガエルをYBの後ろに乗せて、ぶっ飛ばした。

1時間ぐらい走って、子供の頃大嫌いだったヒマワリの花畑に着いた。

「アマガエル…?」

「ここに植えかえよう。きっと一人で淋しかったから、枯れちゃったんだよ。」

それから二人で穴を掘って、首が倒れたヒマワリを植えた。


必死だったから汗でメイクはボロボロ、顔も服も泥だらけ。
ウシガエルは泣いたから目がマスカラでパンダ。

あたし達はお互いの顔を見て笑った。

「ヒマワリ、生き返るかなぁ」
ウシガエルはさっきまでとはまるで別人みたいに、鼻息荒く期待に満ちた満足そうな表情で言った。

「さぁね。」
あたしはわざと意地悪く、あっけらかんと答えた。

「アマガエル、ありがと。」

ウシガエルの頬を水がつたった。
また泣いてると思ったらあたしの頭に冷たいものがバラバラ落ちて来た。

「あ…っ。雨だ…」

周りには雨宿りする場所もなかったので、あたし達はヒマワリ畑に座り込んだまま、止むのを待った。

5分ぐらいの通り雨で、すぐに太陽が出て来た。

雨雲が風に連れ去られるのをぼけっと眺めていると、虹が出た。

「虹のふもとには、宝物が眠ってるんだよ」
ウシガエルはどんどん晴れ渡っていくピンク色の空をみながら言った。

「虹にふもとなんかあるわけ…」

虹の鮮やかな線を半信半疑で辿ると、ふもとにはずぶ濡れのあたし達とヒマワリがいた。

「きっと、明日にはまたヒマワリも太陽を追い掛けてるよ」
湿度が高いはずなのに、不思議と頭は澄んでいた。

その日からあたしは、雨もヒマワリもさほど嫌いじゃなくなった。

雨のあとには、宝物の道しるべが出来る事を知ったから。
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by romancers_m | 2005-06-24 01:06 | オハナシ

騒がしいもの

この時期

新しい季節
始まりの季節

2年前の事はよく覚えてる

"騒がしいもの達"よ どうか
どうか騒がないで。
私を安心して眠らせて

横たわる窓辺から
優しい月は見えなくて
本当に 闇

回る地球
夜が明けて
嫌でも始まる新しい24時間弱

太陽に追いやられる月が
窓辺にやってきて
うっすら
消えそうに光りながら

「さようなら、」

瞬きの度に
どんどん明るくなっていく 空
早い 朝
私はどうする事もできない。

消えたわけではないのに
ただ
太陽の光に負けて
私の目に見えないだけなのに

「さようなら、」

つぶやいた月が
切なく
喪失が脳を支配して

"騒がしいもの達"が騒ぎ出す。

其処は世界
彼は神

自分を殺して働いてきた私を
許せない私が
騒いでいる

眠る事も
許されない。

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by romancers_m | 2005-04-05 08:45 | オハナシ

気が付くとわたしは森の中を走っていた。
安全を保証されたあの家から逃れるように、雨で濡れたじゃり道を、とにかく、とにかく走り続けた。

服は泥まみれ
上半身は雨で濡れ
水たまりを避けきれなかったから靴の中もぐちょぐちょ

そう
どこが道なのかも解らないほど
この森は暗闇

暗闇はさらにわたしを気狂いにした

食べる事への恐怖
食べてしまった後の嫌悪感
嘔吐からくる疲労
自分を傷つけてはいけないという約束
消えてしまいたいという最悪の思考

何もかもから逃れたかった

しかし
暗黒の森は
優しくはなかった

恐怖に包まれたままのわたしは
本当に精神異常者で
泣きながら強く
「帰りたい」
「あの家に帰りたい」
そう思った

家の近くまで来ると
わたしの方に、見知らぬ車が猛スピードでバックしてきた

わたしは避けた

電柱も無い
陸の孤島のような
夜らしい夜がくるこの場所

あのまま突っ立っていたら
ひかれていたでしょう

でも避けた

本能

生きたいという本能

きっとこれでよかったんだ

一日一日を
確実に歩いていれば

過去を振り返って
幸せを実感する日がくるだろう

もう
あの森には行かない

答えをくれたから。

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by romancers_m | 2005-01-29 18:59 | オハナシ

サナと同居人

カタカタカタカタカタ............ギシ...........サー...........

パソコンのタイプを打つ音と、背もたれに体重を預ける音。
その向こうに、久々の雨の音が聞こえる。

同居人はいつも2階に居る。

資料のページをめくる音。タバコに火をつける音。コーヒーを冷ます息の音。
執筆に詰まり、うなる小さな声。

姿を見なくても、音だけで彼が今何をしているのかサナにはわかる。

食事の時間も寝る時間もサナとは違う。
夕方から深夜にかけて仕事をして、朝方床に付く彼は、寝る前サナのためにコーヒーを入れておいてあげる。

同居人は若いころ、喫茶店を造りたいと言っていた。
だから彼のたてるコーヒーはいつも、夢が破れた味がしていた。

サナはam8:00、目覚ましに起こされ、彼の入れたコーヒーを1杯飲んで仕事に取りかかる。

ブローチ、ヘアピン、チョーカー、ピアス、指輪。
家事もこなしつつ、毎日アクセサリーを作る。
週1回、友達の店にそれを納品する。
1ヶ月分の売り上げをもらってサナはため息をついた。

サナには夢があった。

モダンバレーを踊って歓声を浴びる夢。
美しい身体。美しい所作。舞台に立ち、ライトを浴びて眩しく光る自分。

けれど夢は崩れた。

「君の作る物は、悲しく光っているね。泣いてるみたいだ。」
同居人は昔、サナにそう言った事があった。

夢を諦め、“今”をうつらうつらと生きるサナと同居人。
二人は同じ家で生活しているが、しばらく顔をあわせていない。
2階でタイプを打つ同居人。1階でアクセサリーを作るサナ。
この奇妙な生活はもう3ヶ月になる。

サナに一つの疑問が浮かんだ。

「彼は本当に存在しているのか?」

すれ違いの生活になる前は、二人共に過ごす時間が多かった。
毎朝顔をあわせ、“おはよう”と言葉を交わし、二人で食事を作り、肌の温もりをいつも感じあっていた。

けれど3ヶ月ほど前から同居人は、サナを避けるように自分の部屋に閉じこもり、取り付かれたように仕事をするようになった。
部屋に入る事は許されず、サナは同居人の顔を忘れかけていた。

「何かがおかしい。生活リズムが違うとはいえ、3ヶ月も顔を見せてくれないなんて。」
サナは階段を上がり、同居人の部屋のドアに向かって
「ねぇ。仕事、そんなに忙しいの?」
少し荒々しく言った。

「ガチャン」

コーヒーカップが割れる音がした。


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by romancers_m | 2004-12-11 12:19 | オハナシ


プラスにマイナスだとマイナスだけど、マイナスにプラスだとプラスなんだよ。
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